たくさん食べているのに太らない人を羨ましく思ったことはありませんか。 その一方、ダイエットしてもなかなか思うようにいかない人もいます。 「こんなに食事制限しているのに…」と、挫折してしまうこともあるでしょう。 なぜ、このような個人差があるのでしょうか。 それは「基礎代謝」の違いが原因かもしれません。
この記事では、基礎代謝とは何か、基礎代謝が下がる原因は何かについてご紹介していきます。
基礎代謝ってなんだろう?
よく「代謝が良い」「代謝が悪い」と言う言葉を耳にします。ここで言う代謝とは基礎代謝のことです。そもそも基礎代謝とは何を指すのでしょうか。
基礎代謝とは
人間は寝ている時でも、呼吸や心拍、体温維持のためにエネルギーを使っています。基礎代謝とは、生命活動維持のための必要最小限のエネルギー量のことです。 その値は年齢・性別・体重や体組成・生活習慣などにより変動します。 基礎代謝量を臓器別に見ると、骨格筋(筋肉)・脳・肝臓がそれぞれ全体の約20%ずつを占め、エネルギーを多く消費しています。体組成の中で最も消費量が低いのは脂肪で、わずか4%となっています。
基礎代謝量の基準値
厚生労働省が策定する、若年層〜成人の性別・年齢別の1日の基礎代謝基準値は以下の通りです。
女性
・12~14歳 1410kcal
・15~17歳 1310kcal
・18~29歳 1110kcal
・30~49歳 1150kcal
・50~69歳 1100kcal
男性
・12~14歳 1520kcal
・15~17歳 1610kcal
・18~29歳 1520kcal
・30~49歳 1530kcal
・50~69歳 1400kcal
※出典:
e-ヘルスネット「加齢とエネルギー代謝」(厚生労働省)より 基礎代謝量のピークは10代で、その値は年齢を重ねるにつれ下がっていきます。 一般的に筋肉量が少ない人は基礎代謝量が少なくなるため、それが男女差に反映されています。
基礎代謝がダイエット成功の鍵
基礎代謝が高い人は、何もしなくてもエネルギーを多く消費しているのです。たくさん食べても太りにくい人の秘密はここにあります。 また、脂肪はエネルギーを消費しにくいため、太るほど痩せにくい体質になってしまうのです。食事制限しても思うようにいかない人は、基礎代謝の低い身体になっている可能性があります。 体組成計などで、一度調べてみると良いでしょう。
なぜ基礎代謝が下がってくるの?
基礎代謝が下がる原因を探っていきましょう。 あなたの基礎代謝に影響を与えている要因がないか、チェックしてください。
加齢
基礎代謝量のピークは10代半ばです。成長期を過ぎると、身体を維持するエネルギー以外は必要がなくなるため、細胞が生まれ変わるサイクルは徐々に落ちていくのです。 こんなに早く老化が始まっているなんて驚きですね。 加齢による基礎代謝低下の主な原因は、内臓で消費するエネルギーが年齢とともに落ちていくためと言われています。 また、ホルモンの低下、加齢と共に蓄積する活性酸素、代謝を促す体内酵素の低下も、この傾向を助長しています。
筋肉量の低下
骨格筋(筋肉)は体組成の中で、消費エネルギーの高い要素の一つです。
デスクワークが続くと運動不足になりがちですが、定期的に運動をして筋力をつけることは、基礎代謝の維持向上に非常に大切なのです。
特に女性は、男性に比べ筋肉量が少ないため、日頃から意識することが必要です。
栄養不足・不規則な食事
栄養バランスの悪い食事や、不規則な食事も原因のひとつです。
内臓はエネルギーを多く消費しているので、栄養不足により内臓の機能が低下すると、基礎代謝を下げてしまいます。また、体温の維持に悪影響のある、不規則な食事にも注意が必要です。
ダイエットのための極端な食事制限にも、十分注意してください。 脂肪のみならず筋肉も落としてしまい、基礎代謝を下げることになりかねません。
睡眠不足
睡眠中に分泌される「成長ホルモン」は、代謝機能を高めてくれます。成長ホルモンは筋肉を修復してくれるだけでなく、脂肪も燃焼しやすくしてくれます。 睡眠不足による成長ホルモンの低下は、基礎代謝の低下につながるのです。
基礎代謝が下がるとどうなるの?
基礎代謝が下がると、体温の低下を招き血流が悪くなってしまうのです。 その結果、痩せにくいだけではなく、思わぬ体調不良を招くと言われています。 どのようなことが起きるのでしょうか。
肥満
基礎代謝の低下は、カロリー消費の悪い身体を作ります。
血流が悪くなると、栄養や体内酵素を届ける機能も低下します。身体はその働きを改善するために、体温を上げようとします。 そのため、皮下脂肪を蓄えてしまうのです。 脂肪は最もエネルギーを消費しにくいので、太れば太るほど痩せにくい身体になってしまうわけです。
また、さほど食べていないと思っても、摂取カロリーが必要量をオーバーしやすくなり太るのです。
慢性的な体調不良
体温の低下や血管・内臓機能の衰えは、冷え・生理不順・疲労感など慢性的な体調不良を引き起こします。 腸の機能にも影響することがあります。女性が気になる肌荒れなど、美容面にも大きな影響を及ぼすことがあるので注意してください。
基礎代謝を上げるために大切なこと
基礎代謝を上げるにはどうしたら良いのでしょうか。効果的な基礎代謝アップの対策をお伝えします。
筋肉量を増やそう
筋肉はエネルギー消費の高い体組成要素です。加齢に関係なく、運動によって鍛えることができるので、定期的に筋トレを行いましょう。
特におすすめなのが下半身の筋トレです。下半身の筋肉は血流を良くする役割があります。スクワットなどで太ももやお尻の太い筋肉を鍛えると良いでしょう。
自律神経を整えるストレッチや体幹を鍛えるヨガなどもとり入れてみましょう。 腹式呼吸を合わせて行うと体温が上がり、効果がアップします。
有酸素運動をしよう
ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動は血流改善の効果もあり、基礎代謝の向上につながります。
ゆっくり入浴しよう
体温を上げることや、自律神経を整えることが大切です。体温を温めながら、1日の終わりにリラックスすることで、副交感神経を優位にし自律神経を整えます。 質の良い睡眠にもつながります。
規則正しい栄養バランスの良い食事をとろう
規則正しい食事は体温を維持するために必要なものです。 内臓が消化のためにエネルギーを消費し、体温を上げるからです。身体を温める食べ物は特に効果があります。 また、消化により副交感神経を活性化するため、代謝を良くしてくれるのです。
筋肉の維持向上のためのたんぱく質や、生理作用を潤滑にするビタミン・ミネラルもバランス良くとりましょう。
また、水分補給を積極的に行うと、血行を良くすることができるのでおすすめです。 特に白湯は胃腸を温め、内臓の働きを活性化することができます。 水分は食事からも大量に摂取することができますので、規則正しい食事をすることで効果が上がります。
食物酵素に注目しよう
私たちは消化や代謝に必要な酵素を体内で作っています。体内酵素には吸収された栄養を使って全身機能を安定させる働きがあります。 それにより新陳代謝や免疫力をサポートしていますが、残念ながら加齢と共に減少すると言われています。 そのため体外からとり入れる必要があるのです。
酵素は食物繊維の豊富な生野菜や果物、生肉や生魚、味噌や納豆などの発酵食品に多く含まれています。酵素が豊富な食品は腸活にも有効なものが多いので、一石二鳥ですね。