最近、「酵素」や「酵母」を含んだ健康食品が多く販売されています。なんとなく健康によさそうとイメージはしているものの、その違いが分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。 この記事では、「酵素と酵母は一体何が違うのか」や「酵素が不足するとどうなるのか」について紹介します。
1.酵素とは?
私たちの体内には「消化酵素」と「代謝酵素」という2種類の酵素が存在します。消化酵素は、摂取した食べ物を消化する働きがあります。たとえば、唾液中に含まれるアミラーゼや胃液に含まれるペプシン、脂肪を分解するリパーゼなどが消化酵素に属します。一方、代謝酵素は、吸収した栄養分を使ってエネルギーを生み出す酵素です。食べ物から栄養分を吸収し、エネルギーを作るためには酵素が重要な役割を担っています。 また、食物から得られる酵素は「食物酵素」と呼ばれています。 酵素はタンパク質なので腸から吸収されません。そのため、食物酵素が直接代謝に影響を与える訳ではないことに注意が必要です。
2.酵素が不足すると?
ダイエットを成功させるためには、消費カロリーが摂取カロリーを上回る必要があります。カロリーを消費するために最も有効な方法は運動ですが、基礎代謝にも目を向けましょう。ベースとなる基礎代謝のレベルを高めておくと、運動したときに代謝全体が上がりやすくなります。 基礎代謝は日々の生活習慣に大きく左右されます。ストレスを感じる状態が長いたり、睡眠不足になると自律神経のバランスが乱れ、血の巡りが悪くなり、代謝が低下します。また、食事の基礎代謝に関係します。朝食や昼食を食べない、毎回似通った食事をしているなど食生活の乱れにより基礎代謝も低下します。 また、酵素量の減少も代謝を低下させる原因の一つです。酵素は体内で作られるタンパク質であるため、その量は様々な要因によって変化します。例えば加齢です。加齢により細胞が衰えると酵素の合成量は減少します。加齢により基礎代謝量が減少するのはこのためです。また、体質や生活環境、生活習慣によっても変化します。 何らかの原因で代謝酵素の量が減少すると代謝も低下し、太りやすい体質に変化します。また、肥満は代謝酵素の減少を引き起こすことが報告されており、代謝酵素の減少と肥満がお互いに影響を及ぼしあっています。 代謝酵素の減少は、食物に含まれる食物酵素で補うことができます。とはいえ、食物に含まれる酵素(食物酵素)が直接代謝を上げるわけではありません。食物酵素には食物の分解を助ける作用があるため食物の消化が促進されるといわれており、消化が促されれば、栄養分の吸収が上がることが期待できます。
3.酵母とは?
酵素と似た言葉で酵母というものがあります。これらの違いは一体何でしょうか。 酵素は食物を分解したり、エネルギーを作り出すタンパク質そのものである一方で、酵母は微生物の一種です。つまり酵母は生物です。土や水、植物の葉や花、果実、さらには哺乳類や鳥類の皮膚や体内に存在しています。 酵母には糖分をもとにアルコールと炭酸ガスを作り出す働きがあります。私たちはこの酵母の働きをお酒やパン、味噌、しょうゆに利用してきました。大麦を発芽させた後にビール酵母を加えて発酵させるとビールができます。ブドウの果汁にワイン酵母を加えて発酵させるとワインができます。 それでは酵母はどのような健康効果を期待できるのでしょうか。 まず、酵母そのものが栄養源になるということです。酵母にはカリウムやリン、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。また、人が作り出すことのできない9種類の必須アミノ酸を作ることができるため、酵母を摂取することで様々な栄養素を得ることができます。