新型コロナウイルスの影響がまだまだ続きながらも、規制緩和が進み街で観光客を見る機会も増えてきました。また、実際に感染し後遺症で悩む方も増えているようです。そのような中で、免疫力を上げ維持しなければならないと感じている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、免疫とは何か、免疫力を上げる具体的な方法をご紹介致します。
そもそも免疫とは?
免疫とは、細菌やウイルス、がん細胞などの身体にとって異物と認識されるものが侵入してきたときに、それを排除するシステムのことです。また、免疫と物理的・化学的防御をまとめて生体防御といいます。
生体防御の全体像 1.物理的・化学的防御
角質層や、胃液や汗の酸によって異物の侵入を防ぐ。 2.自然免疫
自然免疫に含まれる免疫細胞は、自分以外の異物をいち早く認識し攻撃することで異物を排除する。 3.獲得免疫
異物に対して抗体をつくり、抗体という道具を使って異物を排除する。
免疫力を上げる方法
前提として、免疫力はストレスや疲労によっては弱くなってしまいます。そのため、免疫力を上げるためには具体的に以下4つを実践する必要があります。今日からできる範囲で初めて見てはいかがでしょうか。 ①笑顔をつくる
笑うと身体がリラックスし、ストレス解消に効果があります。笑顔を作ることでナチュラルキラー細胞が活性化されます。さらに、笑顔になるとIgA抗体という体内に侵入してきた異物を無力化する免疫物質の濃度が上昇し、免疫を高めるという研究結果があります。こちらは作り笑いでもIgA濃度は上昇すると言われているため、意識的に笑顔を作ることが重量です。 ②適度な運動をする
適度な運動によってナチュラルキラー細胞が活性化するため、免疫力が高まります。
適度な運動とは:有酸素運動(ウォーキング、ランニング、自転車、水中歩行)で30~60分週2~5回のペース、無酸素運動(筋力トレーニング)週に2~3回のペース。 ③質の高い睡眠をとる
睡眠と免疫の関係性については多くの研究で示されています。十分な睡眠によってストレスや疲労感が軽減されるため、免疫力が上がります。 ④バランスの良い食事をとる
バランスの良い食事をとることで、身体の内側から免疫力を高めることが出来ます。
免疫力を上げる効果が期待できる栄養成分
・タンパク質(肉、魚、卵、大豆食品、乳製品など)
獲得免疫で異物と反応し、異物を排除する「抗体」は「免疫グロブリン」というタンパク質からできています。そのため、免疫グロブリンの材料となるタンパク質は必要不可欠な存在です。 ・ビタミン群(緑黄色野菜、異物、イモ類、魚介類、ナッツなど)
特に、ビタミンAは自然免疫で働くマクロファージを増強する効果があります。 ・食物繊維(海藻類、キノコ類)
腸内で食物繊維から生成された短鎖脂肪酸という物質が、免疫細胞を活性化する効果があります。下記のフコイダンの効果として詳しく説明しています。(③腸内環境を整える)
海藻類に含まれるフコイダンを摂取しよう
フコイダンとは? ・海藻の中でも、昆布、ワカメ(メカブ)、モズクといった褐藻類にのみ含まれる特有のヌメリ成分
・乾燥や細菌から自らを守るバリア機能の役割を果たす
・主成分がフコースである高分子多糖類の総称として使用される名称
・水溶性食物繊維の一種
・九州大学などで盛んに研究されている
フコイダンの効果
①免疫力アップ
全体的な傾向として、加齢とともに免疫細胞も老化していくため、自然免疫力も落ちていきます。赤の曲線が示す現代人はストレスや疲労を抱えていること、
衛生状態が改善したことが原因だと考えられます。 そこでフコイダンを摂取すると、分子量が大きいフコイダンは体内において異物として処理されます。すると、衛生状態の改善に不活性化してしまっていた、
自然免疫力が活性化されます。この働きによって、フコイダンは自然免疫力をアップさせることが出来ます。
②美容効果
褐藻類は水がなくては生きられないため、自らの身体を粘性の高い物質で覆い乾燥から守っています。また、傷口を保護する働きもあると言われています。したがって、天然由来の保湿成分として化粧品に用いられています。また、肌に浸透するのではなく肌の表面を覆い乾燥を防ぐ効果があります。さらにフコイダンはバリア機能が高く、塗布することで紫外線による肌のダメージも抑えられるのです。 ③腸内環境を整える
フコイダンは水溶性食物繊維のひとつ。食べると消化されることなく小腸まで届き、吸収されずに大腸まで到達します。腸内の善玉菌で発酵・分解され、分解される際に出される短鎖脂肪酸が、大腸の組織を正常に保つための栄養源となります。大腸内を弱酸性にして悪玉菌の増殖を防ぎ、腸内環境を整える働きをします。
教えてくれたのは:宮﨑 義之(みやざき よしゆき)先生
九州大学大学院農学研究院生命機能科学部門食品免疫機能分析学寄附講座准教授
九州大学生物資源環境科学府生命機能科専攻にて博士号を取得