昔から「冷えは万病のもと」と言われています。 「夏でも手足の先が冷たい」「厚着しても寒気がする」「足先が冷えて眠れない」など、お悩みの方は多いのではないでしょうか。 この記事では、冷えが起こる原因や改善ポイントについて紹介していきます。
冷えの原因は?
2019年の全国20~60代男女 計1,000名を対象とした調査では、冷えを感じるの人は全体の約6割を占めました。男女別に見ると、男性では4割、女性では7割以上と、やはり女性に多い症状なのがわかります。
年代別では30代が最も多く、約7割の人が冷えを自覚。比較的若い年代に症状が多いという結果が出ました。 冷えを感じる部位は足先・手先が圧倒的に多く、脚、腹部と続いています。 1日で冷えを感じる時間では、就寝前が1位、起床時が2位、日中の勤務中などが3位となっています。冷えという言葉は日本独特の表現だそうですが、日本人に慢性的な冷えの方がいかに多いかが明らかになった調査結果でした。 ※出典:
冷え性と入浴に関する意識調査【リンナイ調べ】より 2人に1人が悩まされている冷え…その原因についてみていきましょう。
栄養の偏り
冷えは熱エネルギー不足が原因です。規則正しいバランスのとれた食事は、消化により体を動かす熱エネルギーを作ります。
栄養バランス偏った食事や不規則な食事、ダイエットで極端な食事制限をすると、体内のビタミン・ミネラルが不足し、代謝が落ちて冷えを引き起こします。
内臓を冷やすビールやアイスクリームなどの冷たい食べ物の取りすぎも要注意です。
血行不良
体を締め付ける洋服やインナー、靴や露出度の高いファッションが、冷えの原因になることがあります。ミニスカートやキャミソール、サンダルやパンプスなど、女性特有のファッションが、実は冷えになりやすくしているのです。 身体は締め付けられたり露出すると、寒さを感じる皮膚の感覚(センサー)が麻痺することがあります。そのため体温調節のはたらきに乱れが生じ、血行不良から冷えが起こります。 貧血気味・低血圧の方は血行不良が慢性化し、冷えになりやすくなるので特に注意してください。
自律神経の乱れ
現代の生活では、夏も冬も空調が欠かせません。空調によって室外と室内の気温差が激しくなるほど、体温調節機能がうまく働かなくなり自律神経が乱れてしまいます。 オーバーワークなどによる不規則な生活や睡眠不足、ストレスも自律神経の乱れを引き起こします。その結果、代謝が低下し血行が悪くなり身体が冷えるのです。
少ない筋肉量
女性は男性に比べると筋肉の量が少ないため、筋肉運動から生じる発熱量も少なくなります。これが、男性より女性に冷えが多い原因と言われています。
筋肉は体組成の中で、最も基礎代謝量が多いのです。そのため筋肉が減れば代謝量が下がり、体温が下がりやすくなります。運動不足による筋肉の低下も、冷えの原因だったのです。オフィスワークによる猫背など姿勢の悪化も体幹の筋肉を弱め、内臓を冷えしやすくしています。
女性ホルモンの乱れ
女性ホルモンは女性のデリケートな身体を、常にコントロールしており、血流を多くし血液循環を良くする働きもあります。
更年期障害やストレスなどで女性ホルモンの分泌が乱れると、血行不良による冷えを引き起こしやすく、生理不順や生理痛の原因にもつながります。
冷えとはどんな症状?
冷えにはどのような症状があるのでしょうか。
身体の部位の冷感だけでなく、さまざまな身体の不調につながることがあることがわかっています。「これも冷えが原因だったの?」と驚くかもしれません。
体温調節機能の低下
冷えは自律神経の乱れから、体温調節のはたらきが低下している状態です。
私たちは冷たい外気の中でも、体温を一定に保つよう常にコントロールしています。
自律神経が乱れて血液循環が悪くなると、慢性的に毛細血管が収縮し、身体の末端がなかなか温まらない状態になります。 そのため「寒くないのにいつも手や足が冷たい」「お風呂に入ってもすぐ手足が冷える」「手足が冷たくて眠れない」など症状が起こります。手足は温かいけれど内臓が冷えているタイプの冷えもあるので、注意してください。
頭痛・肩こり
働く女子を悩ませるあの症状は、冷えが原因だったのかもしれません。
毛細血管の収縮により、細胞が慢性的な栄養不足や酸欠状態になりやすく、その結果、頭痛や肩こりを引き起こすのです。
腹痛・下痢・便通の悩み
内臓が冷えるタイプの冷えの方に多い症状です。
身体が冷えると内臓にも影響が出ます。特に腹部は冷えやすいため、腸の働きを悪化させ、腹痛・下痢・便通の悩みの原因になります。
疲労感
毛細血管が収縮すると細胞への酸素供給が滞り、疲れやすい身体になってしまいます。
いつも体がだるいなどの原因不明の症状は「冷え」からくるものかもしれません。 手足が冷えると、寝つきが悪くなったり熟睡の妨げになりますから、ますます疲労感が慢性化してしまうのです。
風邪
冷えにより体温が下がると免役力が下がり、風邪をひきやすくなります。
インフルエンザなど感染症の流行シーズンにはしっかり注意してください。
女性が気になる症状
冷えによる血行不良は、女性が気になるさまざまな症状を引き起こすことがあります。 血色不良や肌荒れ・生理痛・生理不順・むくみや肥満などの原因になります。
冷え改善のためにできること
冷えを予防・改善するには、どうしたら良いのでしょうか。
まずは、身体を温め血行を良くすることが必要です。
基礎体温を上げる「温活」を日常生活に取り入れましょう。
ストレスを緩和するなど、自律神経を整える生活習慣を心がけることも大切です。
出来ることから始めてみましょう。
筋肉量アップであたためる
筋肉は基礎代謝量の高い部位です。筋肉量を増やせば生み出される熱エネルギーが増えて、身体を温めることができます。 身体を内側から温めるのに効果的な体幹の筋肉や、血流のポンプの役割のある下半身、特に第2の心臓と言われるふくらはぎの筋肉を増やすと効果的です。
室内で出来るダンベルを使った筋トレやスクワット、ウォーキングやピラティスなどがおすすめです。
衣類であたためる
首・手首・足首の3つの首を温めましょう。
これらの部位は皮膚が薄く、太い動脈が通っています。
外気の影響を受けやすい部分なので、ここを温めると効果的なのです。
ネックウォーマーやマフラー、アームウォーマーや長めの手袋、レッグウォーマーや厚手の靴下などを利用して温めてください。
お腹が冷えるタイプの冷えの方は厚手のインナーや腹巻などを利用してみましょう。
入浴であたためる
血行促進のためお風呂に浸かるのは有効です。疲れている日こそ、シャワーで済ませずに湯船に浸かって欲しいのです。
ぬるめの38~40度のお湯に15~20分、ゆっくり浸かって身体の芯から温まりましょう。
これより熱いお湯だと、火照った身体を冷やそうとする体内のはたらきにより、湯冷めしやすくなってしまいます。 炭酸系など入浴剤を利用するのも良いでしょう。
お風呂でリラックスすることで、質の良い睡眠にもつながります。
食べ物であたためる
身体があたたまる食べ物を積極的にとりましょう。 熱エネルギーとなり代謝をあげるタンパク質を多く含む食品(肉・魚・卵・大豆・乳製品)がおすすめです。タンパク質は筋肉量のアップにも欠かせません。 タンパク質をエネルギーに変えて体温をあげるビタミンBを含む食品(豚肉・玄米・鮪・ごま・海苔など)、毛細血管を拡張させ血行を促すビタミンEを含む食品(かぼちゃ・アボカド・アーモンド・たらこ・植物油など)、血液中のヘモグロビンを作り酸素を運ぶ鉄を含む食品(レバー、ひじき、ほうれん草、アサリ、鰯など)も積極的にとりましょう。 味噌・醤油・漬物・チーズ・納豆などの発酵食品も、酵素の働きで代謝を高め体温を上げてくれます。 また、シナモンや胡椒などの香辛料や香味野菜も身体を温めます。ネギには身体を温める「アリシン」、ショウガには発汗を促す「ショウガオール」や「ジンゲロン」が含まれています。 ここまで冷えの原因や改善のポイントをご紹介してきました。
温活習慣で、健やかな毎日をお過ごしください。