在宅ワークが始まってから、なんだか体がだるい、調子が良くない、モチベーションが上がらない、といった悩みを抱えている方が増えてきているようです。 働く環境も、仕事の進め方もこれまでとは急激に変化したなかで、従来どおりに仕事をこなしていくのは大変ですよね。 もしかしたら、環境の変化に体が追いつかずに自律神経が乱れ、それが原因で心身の不調を感じている可能性もあります。 ここでは、自律神経とは何かや整えるポイントをご紹介します。
自律神経とは?
自律神経は、人間の体に無数にある神経のうち、内臓や血管の働きをコントロールしている神経です。私達が無意識のうちに、体温の維持や呼吸、食後に消化器官を動かす、といった働きをしています。 自律神経には、交感神経と副交感神経の2つがあります。 交感神経は日中の起きている時間に活発になり、人間が活動しやすくなるように体をコントロールします。
副交感神経は睡眠中やリラックスしているときに活発になり、体を休ませるようにコントロールします。 交感神経が優位になっているときは、汗をかきやすくなったり、心拍数が上がったりします。また、活動中に排便や排尿を起きにくくするために胃腸の動きは小さくなります。
副交感神経が優位になっているときは逆に、心拍はおだやかになり、胃腸がよく動いて消化を促します。
自律神経が乱れるとどうなるの?
交感神経と副交感神経は、無意識のうちに切り替わりながら、24時間働き続けて私達の体をコントロールしています。
しかし、不規則な生活やストレス、強い疲労などにより切り替えのバランスが崩れると、自律神経が乱れた状態になってしまいます。
自律神経が乱れると、身体と精神のそれぞれに症状が現れます。以下に代表的な症状の例を挙げるので、思い当たるものが無いか確認してみましょう。
身体的な症状
・体のだるさや重さを感じる
・便秘気味になる
・息苦しさや動悸を感じる
・食欲がなくなる
精神的な症状
・やる気がでない
・イライラしてしまう
・理由がわからないけど不安に感じる
どうして、自律神経は乱れるの?
通常はうまくバランスを取りながら働いている自律神経ですが、日常生活の中にも乱れてしまうきっかけがあります。
ストレスや疲労
・仕事のプレッシャーや、人間関係によって感じる精神的なストレス
・業務量の多さなどによる過労
・職場や自宅の室温や、騒音によって感じるストレス
不規則な生活
・夜ふかしをしがちで昼夜逆転してしまっている
・残業が多く、慢性的に寝不足である
・食事をとる時間が不規則になっている
在宅ワーク中に自律神経が乱れる原因
・自宅の机や椅子が、作業に適しておらず体が疲れる
・急にオンラインでのコミュニケーションに切り替わり、ストレスを感じる
・通勤がなくなり、仕事とリラックスタイムの切り替えがしにくい
・外出頻度が減り、体を動かさなくなった
この他にも、自律神経失調症や更年期障害により、自律神経の乱れが起きている場合もあります。心配な方は、自己判断に頼らず、医療機関を受診するようにしましょう。
自律神経を整えるためにできる7つのこと
自律神経のバランスを整えるには、交感神経と副交感神経の切り替えを促す行動をとること、切り替えが乱れてしまうような習慣を改めることなどが挙げられます。
ここでは、日常生活に取り入れやすい7つのポイントを紹介しますので、ご自身に合っているものから試してみてください。
朝起きたらカーテンを開けて光を浴びる
日光を浴びると、自律神経を整えたり精神を安定させたりする働きのあるホルモンの「セロトニン」が分泌されやすくなります。毎朝、15〜30分程度の日光を浴びれば十分です。ベランダなど外に出て日光浴をすると、同時にフレッシュな空気を吸って気持ちもリセットされるのでおすすめですが、抵抗がある方は家の中から光を感じるのでも構いません。
散歩やストレッチなど、軽い運動をする
セロトニンは、日光を浴びる以外にもウォーキングなどのリズミカルな運動でも分泌されます。朝仕事の前にウォーキングをしたり、お昼休憩時間に散歩を取り入れるとよいでしょう。
また、ストレッチは仕事中にこわばった体の緊張をゆるめてくれるので、休憩時間や仕事のあとに行うのがおすすめです。深呼吸しながら行うと、よりリラックス効果が高まります。
食事は決まった時間にとる
仕事が忙しいと、ついつい食事を後回しにしがちですが、食生活のリズムが崩れると自律神経も乱れやすくなってしまいます。
特に時間がバラバラになりがちな昼食と夕食の時間は事前に決めておくとよいでしょう。一定のリズムを作ることで、仕事の集中力も維持しやすくなります。
仕事中は、こまめに短い休憩をとる
業務が立て込んでいると、休憩もせずに遅くまで仕事をしてしまったりすることはありませんか?
仕事中は交感神経が優位になり、あまりに長時間連続して仕事をしているとバランスが乱れてしまいますし、集中力がきれたままダラダラと仕事をし続けることになってしまいます。
忙しい時でも、60〜90分に一度は短い休憩をとって頭と体をゆるめると良いでしょう。
そのときにストレッチやマッサージをしたり、短い睡眠を取るのもおすすめです。
毎日湯船につかる
自律神経を整えるには、睡眠の質を高めることも重要です。入浴は、睡眠の質を高めるのにとても効果的ですので、できるだけ毎日入るように心がけましょう。
入浴後は、体温や心拍が上がることから一時的に交感神経が優位になりますが、その後体温が徐々に下がっていくにつれて眠気を感じやすくなります。
また、血流が良くなって体のコリがほぐされますし、自律神経の乱れの要因の1つである疲労や体の緊張も緩和されるため、おすすめです。
仕事とプライベートを切り替える時間を作る
特に在宅勤務をしていると、仕事とプライベートの切り替えが難しいですよね。PCも手元にあるので、なんだか仕事から離れた気持ちにならない、という方も多いのではないでしょうか。
そんなときは、仕事が終わったあとに、読書やゲーム・料理をする、など自分だけの趣味に没頭する時間を作ると良いでしょう。
仕事以外のことに集中する時間を意図的に作ることで、思考や気持ちが切り替わり、リラックスしやすくなります。
自由に発言・コミュニケーションをとることを心がける
在宅勤務になってオンラインでのコミュニケーションが増えたことから、ちょっとした質問や相談がしづらくなり、ストレスや不安を感じる人は増えています。
相手の顔が見えなくなり、気軽な声かけが以前よりしづらくなった分、遠慮せずに自分の考えや疑問を伝えることは、より重要になっています。
「こんなこと言っても大丈夫かな・・・」を気にしすぎず、まずは伝えてみる、ということを試してみましょう。最初は勇気がいるかもしれませんが、思ったことをすぐに伝えると、ストレスを溜め込みにくくなります。